はじめに
昨年に続いて「今年のベストバイガジェット Advent Calendar 2023」に参加させていただきます。
もはやこのブログのkeepaliveと化している気がするベストバイガジェット。今年は数々のお買い物をしてきたわけではありますが、自分にとって最良のキーボードが決定したので、それについて書きます。
購入品
今年のベストバイガジェットは、 ThinkPad Trackpoint Keyboard Ⅱ です。
私はUS配列で慣れているのでUS配列のものを買いましたが、 JIS配列もあるので好きなほうを選べばいいと思います。 キーボード然りラップトップ然り国内ではUS配列派は肩身が狭いので、 こうしたUS配列の良質なキーボードを販売してくれているLenovoに感謝しています。
というか、今年 も 買ったので今年のベストバイガジェットとして選定したものの、 買ったのは今年が初めてというわけではなく…… (複数枚購入した理由は後述します)
選定の経緯
キーボード選びって泥沼化しがちだと思います。配列、キースイッチ、キーキャップ、等々……
かくいう私もHHKB、REALFORCE、メーカー製のメカニカルキーボード、はたまた自作キーボードにまで手を出すほどの遠回りをしていったわけですが、
最終的に落ち着いた先はお高い静電容量無接点式でもコテコテの自作キーボードでもなく、
いろいろ買った中でも最安クラスなキーボードになったのでした。
選定理由や他製品との比較について、各要素を以下に列挙していきます。
配列
キーボードといったら最も気にするのはこれではないでしょうか。
配列、というとこれもまた様々な要素があるわけですが、USかJISかみたいな程度ならまだ良いとして、
テンキーの要否、不要ならTKLやら60%やら、またはrow-staggeredではなくcolumnar-staggeredか、など書いていたらキリがない訳ですが。
とはいえ、60%未満やcolumner-staggeredの道に進む場合はほとんど自作キーボードしかないでしょうし、
その場合は製作コストや学習コストも惜しまないこととは思われるのですが、そこまでの拘りや気概は無く。
あまりにも異様な配列に慣れてしまうと普通のrow-staggeredを使えなくなってしまいそうな点も考えものです。
いろいろ考えたり触ったりした中で、概ねキーボードの配列に求める条件としては、
- row-staggered
- US配列
- テンキー無し
- カーソルキー有り
- できればFキー有り
このくらいになるかなと。するとまずTKL以下のサイズであることは確定的し、かつUS配列にカーソルキーが無いHHKBは脱落。
60%未満のキーボードも大抵はカーソルキーが無いと思うので同じく脱落でしょう。
ちなみにvim派なのにカーソルキー必要か?とは思わなくもないわけですが、全てのフォームをvimで入力できる訳はないのだし、
そもそもvimでも少量の移動ならinsertモードのままカーソルキーで移動した方が速いと考えています。
上記の条件を満たすキーボードにおいてメカニカル式で最小の配列は75%と考えられるため、
あれは実際しばらく試した訳ですが、BackspaceやEnterの右に0.5Uすら空けずに何かのキーが並んでいる点が無理でした。
ホームポジションから打つ分には右端のキーなんか関係ないとはいえ、手をポインティングデバイス等からキーボードに移動してすぐさまBackspaceやEnterを押す際の誤爆率が高まったりその操作を物怖じするようになったりと、
あまり気持ち良くなかったのでやめました。
まあ75%ってまともなメーカーの市販品には見かけないので、結局は変なやつってことじゃないですかね。
そもそも省スペース効果もTKL(80%)と大差ないので、それならREALFORCEで良いのではないかと。
(というようなことを75%キーボード欲しい人に書くと怒られるのでやめよう!という事例)
Fキーについては日本語話者にとって重要であろうカタカナ変換等はCtrl-U,I,O,Pの方が手の移動が少なくて良いかと思うので有っても無くてもいい派なのですが、
Fキーが無い配列はEscとバッククオートが共用になるのがvim派としては容認できず。
Escもバッククオートもチルダもよく使うんですよね。EscがFn-バッククオートになるのもチルダがFn-Shift-Escになるのも嫌です。
ホームディレクトリを表す際によく使いますよねチルダ。
はい。これらの悩みを一挙に解決するダークホース、それがThinkPad Trackpoint Keyboard Ⅱ。
上記要件を全て満たす上に、なんと本体サイズは60%キーボードと同程度。
というかそもそも世間のラップトップのキーボードを見ても大体この要件は満たしているんですよねという。
じゃあ何故お高いキーボードにはそれが出来ないの?というのが次の項目になります。
キースイッチ
ThinkPad Trackpoint Keyboard Ⅱは良くも悪くも一般的なパンタグラフのメンブレンです。 その括りの中で打鍵感への拘りはもちろん感じるわけですが、メンブレン故に底打ちは必須であり、 静電容量無接点やメカニカルのような指に吸い付くような心地良さは断じて皆無でしょう。
なのでお高いキーボードはそういった点を声高に主張している訳ですが、ここに看過できないトレードオフが隠れています。 それが先程の項目の話であり、メンブレン式はキー形状の設計自由度があるからキー数とサイズを両立できるということでしょう。 メカニカル式の場合はキースイッチが1U×1Uなので、それ以下のサイズのキーは作れません。 静電容量無接点式はどうなんですかね。現実として小さいキーは見当たらないので無理なんじゃないですかね。
接続方式
有線か無線か、無線ならUSBドングルかBluetoothか、という具合だと思うのですが、 ThinkPad Trackpoint Keyboard ⅡはUSBドングルとBluetoothの両用で、 USB Type-C端子から内蔵の二次電池に充電する形になっています。 電池持ちはこれが充電式であることを忘れそうなほど長いので、サイクル数が増えにくいはずなため電池寿命も心配無用かと。
Bluetoothがマルチペアリングではない訳ですが、一つのキーボードの接続先を切り替えて複数台のPCで使うのは、
切り替え時にラグがあったりPC側から見て何度も再接続になる点からしてそもそもあまり好みな使い方ではないので、デメリットには感じていません。
個人的には専用ソフトをインストール済みなWindows機以外ではBluetooth接続する度にFnLockが解除されてしまう点のほうが微妙に残念だなと思っています。
USBドングルだと電源切ろうがドングル抜き差ししようがFnLockそのままでいてくれるのですが……
ということで、個人的にはほとんどUSBドングルでの使用になっており、 複数PCを操作する際にはキーボードが複数枚有った方が格段に便利なので買い足した訳です。 そのうち故障時の予備にもなると思うので、決して無駄ではないと思います。
価格
安い。誰しも高いよりは安いほうが好ましいと思います。
安いから複数枚買っても高級キーボード1枚より安いし、気兼ねなく持ち出せるし道具として躊躇なく使い込めるというものです。
ちなみに、年に数回くらい大きめな割引が入るので、それを狙って買い足すのがオススメです。
トラックポイント
キーボードの名前に入っているくらい重要な要素です。個人的には3DCAD以外は全てトラックポイントで事足りています。
最近はメカニカル式にもトラックボールやトラックポイントが付く例も散見される訳ですが、
トラックポイント付きキーボードに関してはThinkPadが本家と言えるでしょう。
トラックポイントの利点の一つである省スペースを最も活かせているのもサイズが小さいThinkPad Trackpoint Keyboard Ⅱだと思います。
同じくトラックポイントを搭載している某Studioは結局分厚いし重いし、カーソルキーを付けないがために変なタッチセンサーを搭載したりとなんか大変そうですね。そもそも静電容量無接点式を捨ててしまったのにそこまでの価値はあるんですかね。
ちなみに、トラックポイントキャップは個人的にはソフトリムが断然にオススメです。 ThinkPad Trackpoint Keyboard Ⅱに適合する5.5mm高のものをSaotoさんが出しているので、 これをいつも使っています。複数色あるので、複数枚の見分けもできてとても便利です。
使用例
小型かつポインティングまで済んでしまうThinkPad Trackpoint Keyboard Ⅱ。
普通にデスクに置いて使うのももちろん良いですが、個人的には膝置きが断然にオススメです。是非試してみてください。
試さずとも想像だけでも分かるとは思うのですが、デスクに腕を伸ばすよりも上半身が全て楽な姿勢になると思います。
自然とディスプレイとも適切な距離を取れるのではないでしょうか。
と、ここまでなら非常に健全で良い使い方な訳ですが、実際の私の使い方の多くは通称 廃人ごろ寝環境 になっています。
仰向けになり掛け布団を腹の上に掛け、その布団をスタンドとして利用してキーボードを置きます。 もちろん、ディスプレイも枕元から見やすい配置をする必要があるので、デスクとの両立には工夫が必要になります。 (本当はどこかでデスク配置の紹介もしたいのですが、如何せん部屋が汚く……)
これで長時間作業に耐えられる快適なベッドハック生活の出来上がり!と言いたいところですが、 そういうことを長年やっているとWinnyの金子勇さんのように心筋梗塞で若くして亡くなってしまうとの噂なので、 体勢が楽だとしてもそういう生活はしないほうが良さそうです。 とはいえ、この廃人ごろ寝環境の導入によって腰痛が劇的に改善したので、座り続けるよりはマシなのではと個人的には思います。
設定例
macOSのKarabiner Elementsでのキーマップ設定を紹介します。
ちなみにWindowsは最近Updateしたら自壊しやがったので使うのをやめました。
一般的な設定
CapsLock→Control
左右Command単押し→かな,英数
特有の設定
Delete→Sleep 、 謎の正方形4つ→Option 、 Ctrl→Fn (これはもちろんキーボード側のFnではなくmacOS側のFnになるので、絵文字を出すのに使えます) 、 左右Alt→左右Command
ミドルクリック無効化 (中ボタンが正しくスクロールだけの挙動になります)
ちなみにmacOSでは縦スクロールしか出来ないのですが、そこは諦めてShift押しながらスクロールで横スクロールしています。
おわりに
思想強めな文章を長々と読んでいただき、ありがとうございました。
今後のキーボード選びの参考にしていただけると幸いです。